古い住宅の屋根裏に入ってみると、太くて大きなマツの梁が多く使われている。マツが梁に使われるのには理由がある。そのマツの梁をよく見てみると、まっすぐではなく上向きに凸状となるアーチ形をしている。重たい屋根を支えるには力を左右に流すアーチ構造が有利だからだ。しかし、曲がったマツ材を組み合わせると悩みも出てくる。同じ形のものがないので、いったん腐ってしまうと取り替えが効かないことである。このように、木材は樹種ごとにたくさんの性質がある。それでは木造建築で最高級のものは何か?ヒノキとケヤキである。数百年たっても釘が曲がるほど頑丈だからだ。ただし、ヒノキは千年でもほとんど劣化しないが、ケヤキは千年たつと強度は約半分に低下する。千年というレベルで考えると総合的にはヒノキが最良の木材となる。害虫は乾いた木を嫌がる。しかし、雨漏りなどにより水が溜まり、木の水分が十四パーセントを超えると腐朽菌が増殖して、木は蝕まれてしまう。垂直に立っている柱は、雨漏りをしてもすぐに水が流れ落ちるので問題ないが、怖いのはお椀のように水を受けて溜めてしまう水平部分だ。例えば、大きな梁が直角に交錯する部分の下端に水がまわり込むと、まず水分は抜けない。おまけに、二本の梁は、地震でずれないように梁の下端部分がえぐってあるので、どうしてもここに水が溜まりやすい。対策としては水が抜けやすくなるよう交差部分に銅板やゴムを挟んでおく。柱が傾いて見えたり、瓦の隙間が目立ちはじめたら、建物の健康診断が必要となる。屋根瓦のズレ止めにつかう荒木田土は、漏水をし始めると水を含んで重くなり、木の腐食は急速に拡大する。雨漏りも早めに気がつけば、修理代は軽く済む。
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